メールを開いたことが送信者に分かるのはなんで?

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HTMLメールの1×1透明画像が読み込まれ、送信者のサーバーに開封イベントが記録されるイメージ

メールの中に見えないほど小さな画像を仕込んでおいてその画像が読み込まれた瞬間を記録しているから!

メルマガなどの開封率はLINEの既読のように本文を読んだ事実を直接通知するものではありません。メール内の外部画像が読み込まれたことを「開封」として数えるのが代表的な方法です。

目次

代表的な仕組みは「1×1の透明画像」

たとえばAmazon SES(AWSのメール配信サービス)の公式ドキュメントでは「送信するメールごとに固有の参照情報を含む1ピクセル×1ピクセルの透明GIF画像を本文へ挿入し、その画像がダウンロードされたタイミングでどのメールが誰に開かれたかを判別する」と説明されています。仕組み自体は地味ですがこれだけで開封のタイミングまで追跡できてしまうんですね。

HTMLメールを開くと個別URLの1×1透明画像が読み込まれ、配信側サーバーに開封時刻が記録される流れ

HTMLメールでしか効かない理由

このトラッキングピクセルは実はプレーンテキスト形式のメールには使えません。プレーンテキストメールはそもそも文字だけで構成されていて、画像を埋め込む仕組み自体が存在しないためです。読み込む画像がなければ、当然リクエストも飛びません。

ですがHTML形式で送るだけで自動的に開封追跡が有効になるわけではありません。配信サービス側で追跡を有効にするか、送信時にトラッキングピクセルを挿入する仕組みが必要です。

また、HTMLメールにはプレーンテキスト版とHTML版を1通にまとめたmultipart/alternative形式もあります。この場合は受信側がHTML版を表示したときだけ画像が読み込まれます。

なのでメールソフトの表示形式を「テキスト形式」にしている人やHTMLメールをあえて避けている人は、この手の開封計測からはほぼ漏れることになります。筆者も一時期テキスト表示で運用していたことがありますが、たしかにあの頃のメールソースには怪しい画像タグは見当たりませんでした。

リンクのクリックまで分かる仕組み

開封だけでなくメール内のどのリンクをクリックしたかまで分かるのも似た発想の仕組みです。こちらはメール中のリンクURLを、配信側のサーバーを一度経由するURLに書き換えておく方法が使われます。

受信者がリンクをクリックするとまず配信側のサーバーへのアクセスが記録され、そのあとすぐに本来のリンク先へ転送されます。Amazon SESの公式ドキュメントでもクリックのたびにこの経由サーバーへアクセスが飛び、そこから本来の宛先へ即座に転送される仕組みだと説明されていて、開封追跡とほぼ同じ発想で実装されていることが分かります。

自分宛てのメールで実際に確認してみる

というワケで、実際に自分の受信トレイでも探してみます。Gmailの場合は次の手順で確認できます。

  • 対象のメールを開く。
  • 右上の「その他」(縦三点のメニュー)をクリックする。
  • 原文を表示」をクリックする。

表示されたソースで<imgを検索してみてください。width="1"height="1"display:noneなどが指定された画像タグはトラッキングピクセルの候補です。srcのURLに「track」「open」「pixel」「beacon」といった単語が含まれている場合もあります。

メール本文がBase64などでエンコードされている場合はそのまま検索しても画像タグが見つかりません。1×1画像がすべて追跡用とは限らないため「見つからなければ追跡されていない」「見つかれば確実に追跡用」とは断定できない点にも注意してください。

実際に自分に届いたメールで確認してみました。「HTMLメール」で送付されている、開封確認をしたいであろう「メールマガジン」の中で探してみました。

Gmailのメール右上にある縦三点メニューから「原文を表示」を選ぶ画面

すると原文の最後にwidthとheightが1のgif画像がありました。

Gmailの原文でwidthとheightが1に指定されたCuenoteのGIF画像タグを確認した画面

実際にこのGIFファイルへ直接アクセスすると画像自体は8×8ピクセルの透明画像でした。HTML上ではwidth="1"height="1"が指定されているため表示上は1×1ピクセルです。

画像だけでは追跡用と断定できませんが、URLやメールヘッダーには「cuenote.jp」が含まれていました。Cuenote FCにはHTMLメールの開封結果を取得する機能があるため、この<img>タグはトラッキング用の可能性が高いと判断できます。筆者も以前Cuenoteを利用したことがあり、こんなところで再会するとは思っていませんでした。

開封率が100%正確ではない理由

ここまでの仕組みだけを見ると「開封率=実際に読んだ人の割合」のように思えますが、実際にはいくつかの要因で数字がずれます。配信サービス側もこの点は認めていて、Amazon SESの公式FAQでも、受信者側のプライバシー保護機能や画像のキャッシュによって開封数が正確でなくなる場合があると説明されています。

画像を自動で読み込まない設定にしている場合

画像を表示しないとそもそもピクセルが読み込まれず未開封扱いになります。

Appleの「メール」アプリでメールプライバシー保護が有効な場合

メッセージを表示したときではなく受信時に外部コンテンツがバックグラウンドで読み込まれます。そのため実際にはまだ読んでいなくても開封として記録されることがあります。

Gmailの画像プロキシを経由する場合

Gmailは画像をGoogle側で取得して表示するため、送信側は受信者の端末情報やIPアドレスを画像リクエストから直接取得しにくくなります。画像がキャッシュされると最初の読み込みは記録されても2回目以降の閲覧を数えられないことがあります。

テキスト形式でメールを読んでいる場合

前述の通り画像自体が存在しないので追跡のしようがありません。

つまり開封率は絶対に読んだ証拠ではなくあくまで目安として捉えておくのが実情に近いです。Amazon SESでは2026年8月21日、SendEmailSendBulkEmail APIに開封・クリック追跡を送信リクエストごとに上書きできる機能が追加されました。これまでは追跡設定の組み合わせごとに設定セットを用意する必要がありましたが、現在はメールごとの同意状況などに合わせて細かく制御できます。

開封を知られたくないときは外部画像を自動表示しない

開封追跡を避けたい場合は外部画像を自動で読み込まない設定が基本です。PC版Gmailでは「設定」から「すべての設定を表示」を開き「画像」で「外部画像を表示する前に確認する」を選べます。

この設定ではメールを開いただけで外部画像が読み込まれなくなります。自分で画像の表示を許可するとトラッキングピクセルも読み込まれる可能性があります。

たった1×1ピクセルの画像にこれだけの情報が乗っているとは、正直ちょっと不気味だけど面白いですよね。次にメルマガを開くときは、ちょっとだけソースを覗いてみたくなるかもしれません。


Gmailには開封確認以外にも知らないと意図せず情報が伝わる仕様があります。BCCで受信したメールへ「全員に返信」すると何が起きるのかも整理しました。


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